BCPとは
事業継続計画(BCP=Business Continuity Plan)とは、企業が自然災害、大火災などの緊急事態に遭遇した場合に損害を最小限にとどめつつ、中核事業の継続、早期復旧を可能とするために、平時の活動や緊急時における事業継続の方法、手段などを決めておく計画のこと。
BCPの特徴は、従来からある防災計画(損害を最小限にとどめる)の考え方を含みながら、緊急事態に遭遇した後に事業を継続していくための対応力を「そなえる」ことにフォーカスしている点にあります。つまりBCPは、御社の経済的価値だけでなく社会的価値の向上につながる、企業の営みです。
中小企業に必要な理由
「2014年度版中小企業白書」(経済産業省中小企業庁)によると、中小企業の割合は全国で99.7%(約385万社)、従業員は69.7%(約3216万人)を占めており日本経済に欠かせない存在であり、大企業のサプライチェーンは中小企業で成り立っているため大企業にとっても生命線になっています。
そのため、近年ではBCP策定を企業間取引の必須条件とする企業が増えてきています。
中小企業が直面している経営課題は多様であり、平時の企業存続のほか、自然災害などの緊急事態時に遭遇した場合に従業員の命を守り、少しでも被害を軽減し、早急に事業を復活させるために平時からBCPを策定する必要があります。
すべての中小企業は、「つながり」や「ネットワーク」の中で事業を営んでいます。中小企業の皆さんにとって、BCPを策定することは、緊急事態にこそ「つながり」を深めて「ネットワーク」に参加し続け、社会に元気を与えて「よい社会」づくりに貢献することです。
BCP策定のためのステップ
- STEP1:自社が遭遇する重大な自然災害などを確認
- STEP2:自社の存続にかかわる重要な業務を挙げる
- STEP3:中核事業を復活させる目標時間を設定
- STEP4:復旧に長時間を要する資源を特定する
- STEP5:資金調達についても考える
- STEP6:対策や代替手段を考える
- STEP7:従業員、取引先などとの共通認識を持つ
- STEP8:安否確認と取引先との連絡手段を考える
- STEP9:今後、実施すべきことを整理し、計画的に進めていく
- STEP10:1年間の活動を総括して、BCPを見直す
BCPでは、短期間に全ての業務を復活させることは非現実的であることから、重要な業務を挙げて優先的に復活させる対応を行うことを重視しています。この重要な業務の範囲は自社内にとどまらず、自社の業務のサプライチェーンまで対象を広げています。さらに、BCPは訓練を重視しており、計画が役立つものか検証することも求められています。
例えば、重大な自然災害などに遭遇した場合、自社内に緊急対策本部を設ける必要があるでしょう。そして、本部を中心に、従業員の安否や自社の損害状況を確認し、また、通信・交通手段など社会的インフラの損傷度合なども把握しながら、自社の存続にかかわる重要な業務をできるだけ早期に復活させる必要があります。
このように、たとえ重大な自然災害などに遭遇しても、パニックに陥らず適切な対応を行えれば、被害を最小限に抑えることができます。そのため、事前にBCPを策定し、これに基づいてシンプルで分かりやすいマニュアルを作成した上で、全社的な訓練も行っておく必要があります。さらに訓練を通じて、BCPを改善していくことも大切となります。
リスクマネジメント全体の見直し
BCPは、緊急時における戦略や具体的対応策を検討していくものです。そして緊急事態に遭遇した場合には、全従業員がBCPに沿った迅速な対応を行ない、事業継続を図ります。
しかし、企業の永続発展のためには、BCPを整備して終わりではなく、リスクマネジメント全体に対して高い意識を持っていることが重要と言えます。
(参考文献:「BCP策定のためのヒント」中小企業庁)
◆BCP関係のリンク集
事業継続ガイドライン 第3版(2013年 内閣府)
中小企業BCP策定運用指針 第2版(2012年 中小企業庁)
災害に備えよう!みんなで取り組むBCP(事業継続計画)マニュアル 第2版(2009年 東京商工会議所他)
ITサービス継続ガイドライン(2008年 経済産業省)